<訪中報告3ーコラム> ■奇妙な北京の風景ーー平和・活気・ホームレス・no乞食

 北京の街は、平和で活気に溢れている。私が訪れた7月初め、摂氏40度近い 猛暑の 中でも、天安門広場や王府井のような繁華街は、地方からのお上りさんや韓国、 台湾な どからの観光客で賑わい、反日デモ時に見られた緊張感は跡形もなかった。警官 の姿は 相変わらず多いが、彼らは歩行者や群集を見ているだけだから、街に緊張感を醸 すこと もない。目立つのはホームレスの多さである。表通りや繁華街でも、日陰のベン チには ホームレスがゴロゴロしている。同じベンチに警官とホームレスが並んで座って いるこ となど、東京ではありえない情景だが、北京では珍しいことではない。

 私が奇妙に感じたのは、ホームレスが東京に比べて何倍も多いのに、表通りや 駅に物 乞いが見当たらないことだ。中国人の友人によると、「いるのだが、当局によっ て裏通 りなどに追いやられている」という。その通りだとすると、市当局や警察は、市 内に住 みついている物乞いは表通りから排除できるが、大部分が出稼ぎ農民であるホー ムレス には手を付けられないということなのだろう。現在でも8〜9億人にのぼる農民 を貧困 から救い、不満を持たせないようにすることは、胡錦涛・温家宝政権にとって最 大の問 題である。北京のホームレスについても、下手な処理をしたら、北京だけでな く、他の 都市、ひいては農村部でも農民の不満が募り、暴動が起きる恐れがある。

 中国社会は、今日でも、共産党の強固な組織に支えられているが、各種の格差 から生 じる暗い影がしばしば社会を覆う不安定な状況が続いている。

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